
布が必要であり、力学的にもWagner15)の理論式をべースにする方がよいことが知られている。(衝撃角が比較的に小さい場合)
2次元の水面衝撃水圧はWagnerの理論式、Ferdinande16)の理論値がある。Wagnerの理論では、衝撃角(水面と物体のなす角)が小さい範囲では正しい値を与えるが、衝撃角が大きくなると過大な値を与える。Ferdinandeの理論はほぼすべての衝撃角に対して成り立つが、部材に作用する荷重の計算等では取り扱いが難しい。
ここでは、圧力の分布形状はWagnerの理論式と相似になるものと仮定し、水圧のピーク値がFerdinandeの理論値に合うようWagnerの理論式に対して修正係数を設けている。この結果は模型実験結果や重力を考慮した数値解析結果に対しても、実用上問題がないことが確認されている。
(4)衝撃角
衝撃角は水面と物体表面のなす角であるが、3次元形状の船体と水面のなす角を求めるために、船体形状を表すパラメータとして、船体横断面船底部の傾斜角β、バウラインの傾斜角θ、水線の接線が船体中心線となす角αを用いる。このパラメータを用いて、衝撃角が求められる。
衝撃速度は、船体の上下揺れ、縦揺れによる上下方向の速度と、船体の前進速度、波面の上下方向速度、船体表面と水面の相対的関係から求められる。衝撃時の船体の回転の中心は船尾から1/4Lの位置にあるとしており、船体の任意の位置の船体運動による速度はこれから求められる。
(5)平均有効圧力
船体に加わる衝撃水圧は衝撃角が小さい範囲では鋭いピークを持ち、船体表面上を水面とともに高速で移動する。衝撃角が大きくなるとピーク値は下がり圧力分布は次第にフラットになってくる。衝撃水圧を部材に作用する荷重として評価する場合に、厳密には動的な影響を考慮する必要があるが、ここでは安全側をとって、衝撃水圧の空間的な平均値で荷重として評価している。圧力分布はWagnerの理論式で与えられる。
対象部材上の圧力の平均値と圧力のピーク値の比は、接本部分の大きさ、例えば、接本部分の幅と部材の大きさ、例えば、パネルの幅の比に応じて計算できる。これは修正係数Fとして式で与えられている。
(6)衝撃水圧が発生する範囲
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